久喜市江面の内科、内分泌・糖尿病内科 久喜江面クリニック

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平成18年3月22日 境界型糖尿病について

TV番組や雑誌の掲載などによって、糖尿病についてはよく耳にし、目に入る、生活習慣病の中でもよく知られている『疾患名』と思います。疾患名が知られているとしたのは、実際、日常診療で糖尿病患者さんと接し、どれだけの人が病気を理解し、治療に前向きなのか、疑問を持つからです。糖尿病と診断され、基本治療である食事や運動療法といったの治療のほか、薬物治療として、経口血糖降下薬の服用やインスリン自己注射を行っている方さえも、自分自身の病気の怖さを知らないなと思ってしまうからです。もちろん病気への理解や教育を、われわれ医療関係者がもっと熱心に行っていかなくてはならないという反省をもつしだいではありますが、、、、、。
今回、糖尿病と診断される前、少し血糖値が高いという指摘を受けた方、尿糖が陽性であったことがある方など、もしかして糖尿病の気があるねと言われた方に向け、少しお話をしたいと思います。

境界型糖尿病は、どのように診断されているかを説明します。
警告:糖尿病の気があると言われた方、少し血糖が高いなどの異常を言われた方は以下の検査を行うべきです。

75g経口ブドウ糖負荷試験という検査を行うことで、あなたの現在の状態が、正常型なのか、糖尿病型なのか、糖尿病型にも正常型にも属さないもの(境界型)なのかを判定します。検査の手順としては、検査前日の夕食を21時か22時までに済ませ、朝まで10時間以上の絶食とし、朝は空腹の状態で病院へ来院します。高血圧で内服中の方は、十分なお水で薬を服用してもかまいません。そして、まず空腹時の採血を行い(1回目)、次にブドウ糖液(75gのブドウ糖を溶かした甘い飲み物)を飲みます。そして飲んだ後に、30分後(2回目)、60分後(3回目)、120分後(4回目)と採血をしていきます。この検査終了後まで、病院で待ってもらい喫煙や運動は控えます。そして、検査結果によって判定を行っていきます。
 

  血糖測定時間
空腹時 負荷後2時間
判定区分
血糖値 126mg/dl以上または200mg/dl以上 糖尿病型
糖尿病型にも正常型にも属さないもの 境界型
110mg/dl未満および140mg/dl未満 正常型

 
しかし、上記表以外にも、負荷60分後の血糖値が180mg/dl以上の場合は、糖尿病へ悪化する危険が高いとして、境界型として厳重に経過観察します。境界型と判定された方が、どう受け止めるかがとても重要で、その人の生活を大きく左右すると私は考えます。境界型として、糖尿病ではないと思ってしまう方、糖尿病の発症過程として危機感を抱く方、これが分かれ道と考えます。なぜかといえば境界型の判定を受けた方は、糖尿病の診断をうけている方と同様に、動脈硬化を促進する状態になってることに変わりがないからです。糖尿病型と判定されなくても、境界型の判定を受けた方は、食生活、運動習慣を見直し、定期的な血糖測定などの検査をして、糖尿病型への進展を食い止め、正常型への改善を目標に努力が必要なのです。また妊娠を控える方や、妊娠可能年齢期に境界型と診断された方は、ご自身のからだと赤ちゃんの2人分の注意を払わなくてはなりません(妊娠糖尿病の判定は別にあり、上記よりもっと厳しい基準です)。境界型に判定された方は、適正体重、血圧の管理、コレステロールやLDL-コレステロール(悪玉)の正常化、生活習慣の見直し(喫煙、飲酒、運動不足の解消)に努力をすべきです。そして、どなたも恐れている心筋梗塞や脳血管障害の発症を阻止できるよう、危機感を持つべきです。糖尿病の診断を受けている方はもちろん、その前段階の境界型と診断された方も、自分のからだに興味をもって治療していきましょう。まずは、ご自身の状態を把握するのが重要です。もし、糖尿病の気があると言われたなら、放置せずにしっかり検査を受け、現在の状態を把握し、治療をしていきましょう。定期的な検査も治療の1つです。あとになって後悔をしないように。